2025年6月7日、専修大学経営学部主催の「Annual Meeting(卒業生の集い)」が開催されました。「卒業生が集い、在学生と交流し、絆を深め合う」をテーマに、年に一度、世代を超えた学友が生田キャンパスで学びを深めるイベントです。関わる人々の「ソーシャルキャピタルを高めていく大切な機会」として、2022年の経営学部創立60周年記念行事を機に定期開催されています。今年度は「現代における企業家精神の発揮の仕方」をテーマに、50名以上の卒業生・在学生が集結。社会の最前線で挑戦を続ける卒業生のリアルな体験と、起業家精神の本質に迫る講演を通じて「アントレプレナーシップは誰のものか」を共に考えました。
アントレプレナーシップは誰のものか
開会の挨拶では、司会を務める経営学部の間嶋崇先生が、アントレプレナーシップについて「今や経営者だけではなく、様々な場所、様々な地位の誰もが求められている役割」と解説。「変化が激しい時代において、手持ちの資源を有効活用しながら、その変化をうまく味方につけて臨機応変に対応していく。その時に必要になる精神」と語り、参加者の関心を引き出したところで、3名のゲストスピーカーの話題提供に移ります。

1.人生のハンドルを握るのは自分だ!
最初に登壇したのは、小野瀬自動車株式会社で社長を務める小野瀬征也さん(2007年卒)。波乱の人生を振り返りながら、アントレプレナーシップとは「自分の人生に責任を持ち、選択を重ねていくこと」であるとお話されました。人生は選択の連続。誰かに選択肢を委ねるのではなく、自分の人生の主導権が自分主体であることの重要性を「人生のハンドルを取り戻す」という表現を用いて、力強くメッセージを残されました。

2.前例がなくても、思いを貫く
続いて、テルモ株式会社の関口愉香さん(2009年卒)が登壇。3歳の頃に病気で入院した原体験から、「医療の役に立ちたい」という強い志が生まれました。関口さんが考えるアントレプレナーシップとは、「諦めないで貫く」こと。100社以上に断られたとある医療機器の開発も、諦めずに探し続けた結果、小さな工場の協力によって商品化が実現しました。「前例がない」「不可能だ」「リスクがある」といったハードルに直面しても、実現したい思いを貫くことが道を拓く。実体験に基づいた言葉が印象的でした。

3.正解のない時代に求められる力
最後に、専修大学経営学部の池本正純名誉教授が登壇されました。長年に渡り「アントレプレナーシップとは何か」を研究してきた背景を踏まえて、「経済はそもそも均衡ではなく不均衡の連続であり、そこにこそビジネスチャンスがある」と語ります。また現代社会における企業の役割として、「統合報告書」に代表されるような、社会課題の解決に貢献するようなビジネスモデルの再構築が求められていると強調しました。話題は現代の日本の教育にも広がり、若者に必要なのは「正解を問う力」ではなく、決断力や使命感であると締めくくりました。

世代と立場を超えたグループワーク
三者三様の話題提供を踏まえて、後半はグループワークが実施されました。本題に入る前に、この場のルールとして「参加者全員がフラットな立場で対話する」「年齢に関係なく敬語で統一」「ポジティブに考える姿勢」の3点が共有され、参加者同士が安心して意見を交わすための空気感を作り出しました。そして、3名の登壇者の話題を振り返りながら、仕事や学生生活などそれぞれの身の回りで起きる出来事に当てはめていきます。

グループワークでは、「今の自分」と「理想のアントレプレナーシップ」のギャップをあぶり出して、メンバーで解決策を探りました。もちろん、年齢や立場は関係なし!「最近係長になった」という参加者は「上司に対しての向き合い方が難しい。プライドを傷つけてしまわないか不安です」と、リアルな社会人としての悩みをぶつけると、メンバーから「伝え方やタイミングが重要」と率直なアドバイス。一方、学生の参加者から「説明の下手さ」が課題として上がると、卒業生から「相手の知りたいことに合わせて情報を整理する」と知恵をいただきました。
間嶋先生は「年上の方が年下にアドバイスするのはよくあるけれど、学生が上にアドバイスすることがあれば非日常で楽しいと思ったので」と今回のワークの意図を明かすと、アントレプレナーシップについて「英雄的なリーダーが一夜にして世界を変えていく、みたいな印象もあるけれど、今日お話いただいた内容はそうではない。積み重ねがすごく大事で、地道な作業。誰もが、今を一歩でも良くしていこうとする、その繰り返しです」と総括しました。
それぞれの世代が得た学び
池本名誉教授のゼミナール出身の卒業生(2005年卒)は、久しぶりに聞く先生の講義に「社会に出てより染みる内容でした」と話します。学生とのワークショップも「刺激的で良かったです」と振り返り、「大きな話から身近な話に置き換えると、自分の中で問いがたくさん生まれた。考える良い機会でした」と、アニュアルミーティング参加で得たものがあったようです。
今回が3回目の参加となる卒業生(1984年卒)は「年に一度、母校に戻ってくるのはリスキリングのきっかけになりますよね」と、学び直しの機会として活用。「私が40年前に就職するときに悩んだことが、今に繋がっているので。学生さんが今悩んでいることにもアドバイスできるのかな」と、大先輩から在学生にありがたい言葉をいただきました。
はじめに登壇された小野瀬さんは、石崎徹先生のゼミナール出身。当日は石崎ゼミの現役生(3年生)も参加し「初対面だけど、先輩には親近感が湧いた。自分の本音の部分も話すことができた」と交流を深め、「意外と社会人の方も自分たちの悩みと共通していることが多くて驚いた」と学生目線で振り返りました。

今回のイベントでは、世代や立場を越えて、互いに学び合う貴重な機会が生まれました。今年のテーマ「アントレプレナーシップ」について、登壇者の経験に基づいた言葉と、それを受けての実践的なグループワークによって、新たな視点を得た参加者も多かったのではないでしょうか。間嶋先生は「卒業生と学生が交わりながら、いろんなことを学んでいく、そういった時間も作っていきたい」と意気込みます。卒業生と専修大学経営学部を繋ぐ場がアニュアルミーティングです。来年度、みなさんの参加をお待ちしています!
取材:経営学部3年 萩原健丸
編集:専ら経営編集部