そのモヤっと、あなたのせいじゃない!!―アルバイトの悩みを経営学で考える―


アルバイト経験を経営学で考える

「そのモヤっと、当たり前だと思っていませんか?」

アルバイトをしていて、「なんとなくモヤっとした経験」をしたことはありませんか。急なシフト変更、十分な説明がないまま任される仕事、断りづらい雰囲気 ーー。こうした出来事は、学生アルバイトの間では決して珍しいものではありません。

専修大学経営学部では、「人的資源管理論」や「雇用関係法」といった講義を通じて、働く人と組織の関係を多角的に学びます。

それらの視点から見ると、アルバイトの現場で起きる困りごとは、個人の問題ではなく、職場の仕組みやマネジメントの問題として捉えることができます。

本記事では、高校生・大学生を対象に実施したアンケート調査をもとに、学生アルバイトが感じている「困った経験」を、専修大学経営学部で学んだ知見を踏まえて読み解いていきます。

アンケート調査の概要

本調査は、Googleフォームを用いて高校生・大学生を対象に実施しました。アルバイト経験の有無、困った経験の内容、不満点、満足度、労働に関する知識の程度などについての質問内容を設けています。

回答者は21名で、その85%がアルバイトをした経験のある学生の方々でした。飲食店、塾、コンビニ、軽作業など、さまざまな業種で働く学生の声が集まっています。

学生アルバイトのリアルどのような「困った経験」が多いのでしょうか?

アンケートの結果、最も多く挙げられた困った経験は、シフト調整に関する問題でした。
「希望日程が反映されにくい」「急な変更や代替出勤を求められた」といった声が多く寄せられています。

そのほかにも、

  • 業務を体系的に教えてもらえる機会が少ない
  • 仕事内容に対して時給や待遇が見合っていないと感じる

といった不満も多く見られました。

自由記述には、次のような声もありました。

  • シフトを出しても、人数が増えたことで三分の二削られることがありました。
  • 最低賃金が上がったことで、人件費削減のため出勤人数を減らされ、以前よりも一人当たりの業務量が増えました。
  • 繁忙期の忙しさに見合った給料ではないと感じました。

これらの回答から、学生アルバイトの現場では、シフト管理や人員配置、待遇に関する不満が少なからず存在していることが分かります。

働きやすさと満足度辞めたいわけではないけれど…」

アルバイト経験の満足度については、「満足している」「やや満足している」と回答した方が多い一方で、「どちらとも言えない」「あまり満足していない」と感じている方も一定数いらっしゃいました。

困った経験を複数挙げている方ほど、満足度が低い傾向が見られ、特に人間関係やシフトに関する不満を抱えている方は、働きにくさを感じやすいことがうかがえます。

「辞めるほどではないけれど、納得して働けているわけでもない」。そのような状態に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。


それは「個人の問題」ではありません

こうした困りごとは、一見すると個人の感じ方や職場との相性の問題のように思えるかもしれません。しかし、専修大学経営学部で学ぶ「人的資源管理論」の視点から見ると、教育体制やシフト管理の仕組み、評価や報酬の設計といった、マネジメントの問題として捉えることができます。

人的資源管理論では、働く人を単なる労働力としてではなく、組織の成果を支える重要な「人的資源」として考えます。働く人が安心して力を発揮するためには、明確なルールや十分な説明、適切なフォロー体制が欠かせません。

例えば、業務を体系的に教えてもらえない職場では、常に不安を抱えながら仕事をすることになります。これは人材育成の仕組みが十分に整っていない状態であり、結果として職場全体のパフォーマンス低下にもつながります。

また、シフト調整が一方的に行われる職場では、「自分の都合は考慮されていない」と感じやすくなります。人的資源管理論では、働く人の納得感や満足度はモチベーションに大きく影響すると考えられています。

さらに、「仕事内容に対して時給が見合っていない」と感じる声は、評価と報酬のバランスに関わる問題です。どれだけ頑張っても正当に評価されていないと感じる職場では、働く意欲が下がるのは自然なことだと言えるでしょう。


雇用関係法の視点働く人を守るための「最低ライン」

アルバイトの現場で起きている困りごとの中には、単なる不満ではなく、法律の観点から注意が必要なケースも含まれています。こうした問題を考えるうえで重要な視点が、専修大学経営学部で学ぶ「雇用関係法」です。

雇用関係法とは、働く人と雇う側の間で結ばれる雇用契約に関して、労働者個人を守るために定められた法律の総称です。

労働時間、賃金、休憩、残業、退職、解雇など、働くうえでの基本的なルールが定められています。

今回のアンケートでは、

  • 残業やサービス残業があった
  • 休憩時間が十分に取れなかった
  • 人件費削減により業務量が増えた

といった声も寄せられました。これらは、雇用関係法の観点から見ると、労働条件の適正さが問われる可能性のあるケースです。

雇用関係法が定めているのは、「働く人が最低限守られるべきライン」です。この最低ラインは、正社員だけでなく、アルバイトやパートなどの非正規雇用の労働者にも適用されます。

しかしアンケートでは、労働基準法やアルバイトの権利について「よく知っている」と回答した方はおらず、多くの方が「少し知っている」「ほとんど知らない」と答えていました。


知っておきたい相談先一人で抱え込まないために

もしアルバイト中に不安や疑問を感じた場合には、一人で抱え込まず、外部の相談窓口を利用することも一つの方法です。

  • 労働基準監督署
  • 総合労働相談コーナー
  • 学校のキャリアセンターや学生相談窓口

こうした窓口では、働くうえでの悩みについて相談することができます。知識を持つことは、トラブルを避けるためだけでなく、より良い働き方を考えるための第一歩でもあります。


おわりに-身近なアルバイトが「経営学へのトビラ」になる

私たちの身の回りのアルバイトや仕事の現場には、経営学の理論が数多く関わっています。「なぜこうなるのだろう」と立ち止まって考えることで、働く環境を違った角度から見ることができるようになります。

アルバイトでの経験は、単なるお金を稼ぐ手段ではなく、社会や組織の仕組みを学ぶ貴重な機会でもあります。身近な働く現場から経営学に触れることが、「経営学へのトビラ」となるのかもしれません。

文:経営学部 3年 麻場彩花
編集:経営学部 3年 長田凛